ITCの活躍が日本を救う!

2014年5月 8日

NPO法人 ITC中部監事 井上 新

ITCの活躍が日本を救う!

昨年まで、縁あって、日本税理士会のIT部門委員を約10年やらせていただきました。平成16年2月2日に、国税庁提供のe-Taxソフトを使って日本初で電子申告をしたということをキッカケとして、電子申告問題に止まらず、電子政府構想にまで関連して行政はじめ各方面に意見を申し上げる立場をいただいていました。そして、そこにおける議論・研究成果を全国各地でお話しする機会もいただきました。10年前のスタート時点では、日本は「世界最先端のIT国家」を目指すということで始まり、当時は8位くらいのIT国際競争力なので、さらに上を目指して頑張ろうという勢いでした。また、私どもITCも当時のIT国家構想の一環である人材育成として誕生してきたはずです。

ところが、先日入手したデータでは次のような状態で、愕然としました。

「IT国際競争力21位。」

さらに、他の調査機関による、「行政のIT利活用」については、50位以降だったり、70位以降だったり。いったい日本は何をやっているのでしょう。ちゃんと国のITを導ける方がいるのでしょうか?これ程の技術力のある国でありながら。国民の教育水準も、経済力も高い水準にありながら。これでは、ITの発展途上国ではありませんか。

 平成25年5月24日「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、やっと「マイナンバー制度」が導入されることとなりました。やっとです。十何年も前から言われていて、やっとです。政権交代してやっと実現しました。中身は、とても発展的に使える状態ではないものの、導入が決まっただけまだ進歩です。少なくとも、前3年間の旧政権時代は、ITと中小企業は暗黒の時代でした。ITについては、思いっきりバックスピンのかかった状態で、ITCの皆さんも少なからず苦労されたと思います。

 とりあえず、マイナンバー制度は導入されることとなりました。しかし、このままの状態では、過去の経緯を見と、どうなることか大変懸念されます。ちゃんとした方向性を示すことのできる指導者がいない。日本国のITC(=国家CIO)がいない。名目上はいらっしゃっても、行政の仕組みがそれを機能させない。結果として、住基ネットの二の舞を演じかねない、ということになるような予感がします。

 一応、マイナンバー制度は、

①財政と社会保障の問題。超高齢社会において、きめ細やかな社会保障サービスを提供するためには、所得や給付状況など個々人の状況を正確に把握する必要があります。
②行政の効率化。業務効率化のためには、縦割り行政を解消すること。個人情報を紐付ける仕組みが必要です。
③東日本大震災のような甚大災害に対する備え。本人確認や要援護者名簿の作成、医療情報の活用といった場面で、番号制度が力を発揮します。
④所得把握の精度が現状よりも向上し、脱税や社会保障における不正受給も少なくできる。etc

という大義名分のもとに、徐々に拡大していくものとされています。

 しかし、前例である住基ネットはひどかった。私は、電子申告に必要なため、いち早く取得し、個人的には両親親族にまで取得してもらったものの、発行する側が抵抗勢力になっていた時期もありました。その住基カードは、いまだに全国で約764万枚(2013年6月現在)しか発行されていません。住基ネットのDBは氏名・性別・住所・生年月日の4情報とその変更履歴を管理するだけなのに。私は、「カップル合計年齢120歳以上を証明した方は、お好み焼きタダ。」というあるお店の制度を両親の住基カードで使い倒した以外、利用価値を感じなかったですし。ほんと、茶番でしかありませんでした。

このまま、マイナンバー制度導入に当たって住基ネットをベースにしたら、早い段階で、また頓挫するのではないか。なにか、基本的な導入の発想が、特定のベンダーを喜ばせるだけの結果に終わらないかという懸念をしています。

 マイナンバー制度導入のコストについては、初期費用が2700億円、運用開始後の維持・管理コストが年間300億円程度との報道がありました。この国家予算無駄にならないようにして欲しい。

 何度となく、行政のIT担当者(私の場合は国税庁)と打ち合わせしていて感じたのは、その立場の中で、大変いろんな検討をされているようだということだけです。しかし、全て省庁の枠組みの中で考え、そこからはみ出す発想はことごとく否定される。縦割り行政がITの世界を雁字搦めにしている印象を受けました。これを打ち破ることができるのは、国会議員や革新的なIT知識のある官僚であり、そこにアドバイスできるのは、ITC的知識・発想を有する方だと思います。大前研一氏も「そもそも立案する議員や役所にITのわかる人がほとんどいない上、彼ら提供者の「上から目線」とITゼネコンの談合・山分け論理でシステムが構築されているからである。にもかかわらず、国民は怒りの声を全く上げていない。21世紀のシステムを作るというのに、これほど「おめでたい国」は、世界広しといえども日本だけだろう。」と言っていましたが、まさに同感です。
 日本が平和で公平で、危機管理にも強い、よりよい国になるためには、マイナンバー制度が定着し、日本のIT化推進が当たり前として捉えられる国のように進歩することだと考えます。そのためには、日本を救うITCが出てきてくれることが期待されます。

以上

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