マラソン大会のIT革命

2017年12月18日

ITC中部 理事 ブランドデザイン委員 稲崎 俊一

    

 世はマラソンブームである。

東京マラソンを筆頭に、ここ10年くらいで都市型マラソンが増え、大阪、神戸、京都、奈良、名古屋などで開催され地元の収益向上にも一役買っていると思われる。

ブームの前までは、エントリーするとたいていは参加できたのだが、いまでは都市型マラソンのほとんどが抽選方式である。

東京マラソンで11倍、35,000人のランナー枠に、380,000人が応募するのである。

今年で11回を迎えた東京マラソンの初回から応募し続け、一度も当選していない人がざらだという。

そんななかで3回当選し走ることが出来た私はラッキーである。

42.195キロを走るというのは、並大抵の辛さでない。

30kmを過ぎた辺りから脚が痛くなり、エアーサロンパスを噴霧しながら走るのである。

走り始めたころは、完走が目的であったが、出場を重ねるごとにたいていの人は、タイムを縮めることを目的とするようになる。

このタイムを縮めるということが大変なことでもあり、頑張れる要因でもあるのだが。

    

 さて、マラソン大会でのタイム計測は、1980年代はバーコード方式が主流で、ゴール地点で押されたストップウォッチのタイムと、ランナーのゼッケンに印刷されたバーコード(ゼッケン番号)を結合させてタイム順位を集計するというシステムであった。
1996年頃からタイム計測にIT革命が起こった。オランダのチャンピオンチップ社が開発した「チャンピオンチップ」というICチップがその革命児である。
ICチップをランナー一人一人のシューズ又はゼッケンに装着し、ゴール地点にICチップを感知するセンサーが設置され、そこを通過すると瞬時にデータが蓄積されるという訳である。
今では、このセンサーが、5㎞、10㎞、15㎞、ハーフ地点、25㎞、30㎞、35㎞、40㎞、ゴールに設置され、ゼッケン番号を入力すれば、そのランナーがその地点を何分で走ったかが瞬時にわかるシステムが開発されている、スマホでも簡単にランナーのタイムを確認することができ、ランナーの先回りをして何箇所から沿道からの応援をするのにも役立っている。東京マラソンはもちろん、どの大会でも「ランナーアップデート」というもので、ランナーを追う事ができる。
特定のランナーの位置を確認し、公共交通機関で先回りをして沿道でそのランナーの応援をする。

走っている側からすると、その特別な応援は、脚の痛みを和らげ、背中を押してくれるのだ。

    

このICチップを使ったタイム計測機などの設置は、前日の夜から行われ、マラソン終了とともに撤収される。

大変な機材と労力がかかっている。

前述した通り、各地点での設置とテストを行い、本番では何万という人のデータをセンターに送信し蓄積をして公開する。
正常に稼働して当然で、トラブル等でタイム計測が出来なかったという事態は想像するだけで恐怖である。(どんなシステムでもそうであるが・・・)。
まだまだマラソンブームは続くと思われるが、もっと画期的な計測方法が発明されることを期待している。

   

 

以上

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