『幸せとIT』

2013年1月 7日

NPO ITC中部理事長 和澤功

 明けましておめでとうございます。今年こそ明るい良い年でありますようにお祈り申し上げます。


 経済産業省のデータで、日本企業のITシステムの60~70%が使われていないシステムだそうです。苦労して開発したシステムが使われないだけでなく、経営への貢献度は米国の半分で、開発会社(SIベンダー)とユーザー企業では、システム開発について訴訟事件になっているケースすらあります。


 本来であれば、新たなシステム作りというやりがいにあふれ、ユーザー企業の方々と共にできあがったシステムが稼働し効果を上げる達成感を感じられるすばらしい仕事のはずなのですが,実際の多くはそうではないようです。

 かってIT産業は先端産業で、就職戦線でも人気の業界でしたが、今では3K・7Kと揶揄され、イマイチの状況です。こういった状況を打破して、明るいやりがいにあふれた業界へ変革していくことが求められています。

 慶応大学医学部の坪田一夫教授の『ごきげんなひとは10年長生きできる』という本で、ごきげんな気分が大切だと書いています。

 俯いて、『定かでない仕様書通り(?)・曖昧で切羽詰まった納期通り(?)・不十分な(?)テストを行って(プログラムを)開発し,とにかく動かすこと』に戦々恐々しているようでは、楽しくもなく"ごきげん"になれるはずもありません。

 近江商人の"3方良し"を発展させて,①売り手(SIベンダー企業)・②買い手(ユーザー企業)・③社会+④現場(ベンダーのSE、ユーザーのSE)の4方良しで行きたいものです。

 そのためには、今開発しようとしているITシステムの『目的=経営効果を上げること』をユーザー企業とSIベンダーが共有し、その"目的"目指して共に頑張るという姿勢が基本となります。コミニケーションを十分にとり、相互の信頼関係を維持しながら、明るく・ごきげんな環境でシステム開発を進めることが大切ではないでしょうか。

 ITシステムは今や社会や企業にとって無くてはならない存在であり、企業の競争力源泉の一つですらあります。

 今後『多重下請け構造』を脱却し、『2年も3年もかかるウオータフォール型の開発』や『失敗への恐れから見積もり,仕様書や開発レビューなどの文書主義』から卒業し、新たなIT産業構造を目指さなければ,日本のITは世界から落ち溢れてしまいます。

 魅力ある、やりがいにあふれ、ごきげんなIT業界へ改革していくこと、『幸せとIT』の追求、ITCの真の役割はそこにあるような気がします。(平成25年 元旦)

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