ＩＴＣ中部　副理事長　ブランドデザイン委員　森 孝義

2015年5月より日本でも携帯電話のSIMロック解除（アンロック）が始まりました。実は、こちらを有効に利用すると年間の通信料がなんと約4万円もおトクになります。

◆SIMロックとは
日本では、docomo、au、SoftBankという大手3社とY!mobile のように、携帯やPHSの通信設備を自前で整備して回線を提供する通信事業者が、携帯電話機とSIMをセットで提供するのが当たり前でした。通信事業者では自社のSIMでしか携帯電話機が使えないようにSIMロックをしています。
一方、海外の多くの国では、携帯電話機とSIMは別々に契約することが普通です。このような携帯電話機を日本ではSIMフリーと呼び、どこの通信事業者のSIMも使うことができます。そのため携帯電話機はある安いお店で、SIMは別の安いお店で買うとか、前の携帯電話を使って通信事業者だけ別の事業者のにしよう、などと消費者が選択することができます。
そこで、2014年総務省は日本でも競争原理を働かせ、通信料を引き下げることを目的に、SIMのアンロック義務化を決定しました。

◆格安通信事業者
実は以前から日本にも、日本通信、IIJmio、AEON、BIGLOBE、最近では楽天モバイルやDMM mobileなどの格安の通信料金をうたった通信業者がありました。これらの業者は、殆ど仮想移動体通信業者（以下MVNO：自社で回線を持たず、回線を借りて通信サービスを提供する通信会社）と呼ばれる会社です。MVNOは回線の提供を受けている通信事業者よりも格安に提供しています。

◆我が家は年間20万円もトク
実際、我が家にはiPhoneが4台あります。それでもIIJmioを使っているため通信料は月額税込み約5,000円に押さえています。ドコモのファミリーシェアでデータ通信10GBの場合月額17,800円になります。その差額は月約13,000円、年間15万円ほどトクになります。
また、私は年に3度は台湾に行くので、台湾のプリペイドSIMを持っています。5日間のフリーインターネットでも約800円ぐらいですみます。キャリアのローミングなら1日約3,000円かかります。そのため、従前からSIMフリーのiPhoneを手に入れ現地で使っています。こちらは年間5万円ぐらいトクをしています。
つまり、合わせて年間20万円もトクしていることになります。

◆デメリットは？
SIMフリー端末の初期コストが高いことでしょうか。ちなみにSIMフリーのiPhone 6は16GBでも税込みで10万円弱します。ただ、多くのMVNOはdocomoの回線を借りていて、docomoの端末はSIMアンロックしなくても動きます。つまりdocomoの中古で利用できます。（※　詳しくはMVNO事業者の対応端末の情報をご覧下さい。）
次に挙げられているのは、携帯事業者提供のメールアドレスが使えないことです。ごく希に、登録のさい空メールを送るもので、携帯電話のメールアドレスでしか登録できないサービスなどがあります。そういったものは登録できません。

◆ガラケー（フィーチャーフォン）とどっちが安いか
妻が使っていたのはD社のガラケー（フィーチャーフォン）でした。電話は家族との通話が中心で月数千円程度、通信はメール程度で月数千円の合計5千円程度でした。そのままiPhoneなどのスマホに機種変更すると通信料が大幅にアップしてしまいます。
しかし、ガラケーのパケットを一切使わないようにすると、パケ放題より安い料金でスマホの通信量がまかなえるので大抵の方は2台持ちでもランニングコストは抑えられます。

◆2台持ちでの上手な使い方
（１）電話を余りかけない人
通話時間が短い人は、ガラケーの通信プランは全て切って通話はプランSSなど最低限のものにする。
ガラケーの通話プランは無料時間が入った基本料金を50％オフにできてお得。もっと割り切れば、スマホ1台で050 PlusやFusion SMARTalkなどのIP電話にすればもっとお得に。

（２）電話をたくさんかける人
ガラケーの通信プランは全て切って、電話だけガラケーのカケホーダイにする。
スマホのカケホーダイは通信プランとセットで高額になりますが、ガラケーのパケット通信無しのカケホーダイはdocomoなら税別2,200円＋ユニバーサルサービス料で契約できます。

（３）スマホの電池が持たない
スマホの電池が切れてもガラケーの電話機能が生き残ります。

ただ、2台持ちは面倒な部分も増えます。自分の使い方を考え、上手に使って節約しましょう。

※　文中の価格はすべて2015年7月現在のものです。

以上