ITC中部のお役立ち

DX(デジタルトランスフォーメーション)への先導者 ~ ITC中部 ~

ITコーディネータの支援対象は、大企業、官公庁、地方自治体からCIO(Chief Information Officer)が設置できない中堅・中小企業まで、規模の大小、業種・業態を問いません。特に中堅・中小企業経営者の悩みに応える頼れるパートナーとなります。
経営者の立場に立って、親身に企業経営の未来を見据え、IT投資を成功に導くキーパーソンの役割を果たします。
※ITコーディネータホームページよりhttps://www.itc.or.jp/management/

ITC中部では、所属コンサルタント、関係ベンダーなどの協力により様々な支援メニューを展開しております。

 

◆◆◆◆ IT経営診断のおすすめ ◆◆◆◆

 といっても、どこから手をつければよいのか、どのようにすればいいのか。

お困りなら、まず、ITC中部の「IT経営診断」をおすすめします。

 

ITC中部会員のプロコンサルタントが3回~4回の訪問で貴社のIT経営について具体的な提案をさせていただきます。

① 幹部による調査表の記入(4種類あります)
② 幹部に対するインタビュー(各0.5~1時間程度)
③ コンサルタントによる分析
④ 分析結果確認のための追加インタビュー
④ 診断報告書の作成
⑥ 診断結果のフィードバック(プレゼン)

<報告書の内容>
1.経営目標の確認
2.現状の姿(全体および部門別の現状と課題)
3.業務プロセスとIT利用について(as-is)
4.今後に向けての提案

他の無料診断メニューのような「生産管理などの基幹業務は範囲外」などの制約はありません。

 

料金は組織の規模により変動しますが、一例として従業員50100名程度の製造業の場合標準的には次のようになります。

固定料金:1万円(基本調査訪問1)

従量課金:1.5万円(時間)×3時間×診断訪問3=13.5万円

 

お申込み、お問い合わせはメールお願いします。

https://www.itc-chubu.jp/

IT経営診断(診断フェーズ)で明らかになったIT経営改革の実施について、引き続きご支援させていただきます。(別契約)

改革フェーズの支援メニュー

  • 経営戦略立案支援
  • 業務改革プロジェクト支援
  • IT活用計画立案支援
  • IT導入・再構築支援
  • 幹部のマネジメントスキルアップ研修

 

この支援は次のようなケースに有効です。

◆ 社長の考えを経営戦略として具体化したい

◆ 環境の変化に対応できる戦略的な事業計画を作りたい

◆ 業務プロセスを見直しムダのない効率的なプロセスに改善したい

ITをもっと活用して販売力、生産性を高めたい

◆基幹システムが旧くなり再構築の必要性を感じている

◆バラバラな情報システムを一貫したシステムに作り変えたい

◆経営を引き継ぐにあたって一度経営全体を棚卸し、整理したい

 

お申込み、お問い合わせは「お問い合わせフォーム」からお願いします。

https://www.itc-chubu.jp/

ITC中部事業開発委員会では皆様のお役立ちのために各種セミナー

を開催しております。「ITCライブ・ITC中部事業開発委員会」へ

どうぞ クリックしてお越しください。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆ 5Gと中小企業の未来 ◆◆◆◆

~5Gでかわる中小企業の経営と採用~   

◆◆◆◆ 働き方改革特集 ◆◆◆◆

  • ITを活用して働き方改革を実現する!       
  • 働き方改革とは業務の効率化ではない!   
  • 新しい働き方導入のチャンス       

 

 

 

 

特定非営利活動法人ITコーディネータ協会会員 尾上昌人

  

◆第5世代移動通信システム(5G)の登場

2020年3月、我が国においても、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが開始されました。今はまだ基地局の設置など普及には若干の時間がかかりますが、5Gの普及は私たちの経営環境に不連続な変化をもたらすでしょう。

5Gが従前の移動通信システムと大きく異なるのは、4Gまでは、主に人がスマートフォン等の端末を用いてストレスフリーな通信やよりリッチなコンテンツを楽しめるよう、高速・大容量化を遂げてきたのに対し、5Gは超高速・大容量に加えて、超低遅延及び多数同時接続といった要件を備えることにより、IoT(モノが人を介さず自動的にインターネットにつながる技術)やICT(通信技術を使って人とインターネット、人と人がつながる技術)の飛躍的な進化が可能となる点です。

5G3つの特徴とその利用法

ここで5G3つの特徴と今後起こるであろう変化を簡単におさらいしましょう。

・超高速通信

4Gの10倍以上の速度となるため、4K/8Kなどの高精細映像をはじめ大容量コンテンツであっても高速に伝送されることが期待されます。

・超低遅延通信

5Gにおける遅延は1ミリ秒程度とされており、4G10分の1程度に短縮されることが見込まれています。これによって、通信のタイムラグが解消され、自動運転や遠隔でのロボット操作など様々な産業・分野において用途が広がっていくことが期待されます。

・多数同時接続

5Gでは4G10倍にあたる1㎢あたり100万台の端末が同時に接続できるようになることが見込まれていますので、センサーの精密化などが実現します。

◆5GとWith Coronaのライフスタイルの普及でサイバー空間とリアル空間の融合が加速
これまでもデジタル基盤の整備やデジタル技術の活用によるデジタル・トランスフォーメーションを通じて、産業の効率化や高付加価値化が進められ、その過程において、サイバー空間とリアル空間の融合が進んでいきました。その流れはWith Coronaの取り組みでさらに加速し、両空間が完全に同期する社会へと向かうとの指摘があります。
今後、私たちの活動の場、つまり職場や人的交流の場はリアル空間からサイバー空間へと移行していくと予想されます。
そのような移行を妨げる規制・慣行を見直し、リアルとサイバーの垣根を最大限取り除くことが、5G時代の社会・経済に向けた国や地方自治体の重要な取組となります。

5Gをはじめとするデジタル基盤やIoT、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の活用は、今まで以上に重要となっていくでしょう。

それに伴って私たちの経営も、非対面ビジネスモデルの確立やテレワークの導入などが進み、リアル空間からサーバー空間へ重点を移す動きが活発になるのではないでしょうか。

 

5Gの普及が中小企業に及ぼす影響とは?

5Gの普及でテレワークやクラウドソーシング、アバターロボットの導入等、場所に囚われない働き方が可能になったことで、インターネットに接続できる環境があれば、労働者は地方に住みながら都市圏の仕事を行うことも可能となるなど、多様な働き方が生まれていきます。

それによって、中小企業の経営環境に下記のような3つの大きな変化が起きると予想されています。

  • 業務の細分化によるテレワーク求人の必要性

今まで、フルタイム、パートの2種類の雇用形態が一般的ですが、これからはテレワークを利用して業務ごとに作業を委託することができます。そのことにより、より効率的な業務を行うことが可能となります。

  • 人手不足の解消

リモートワークのさらなる普及で少子高齢化の人口減少による人手不足の解消や若者の人口流出による地方産業の担い手不足など企業の労働力不足の解消につながります。

  • 優秀な人材の確保が可能に

テレワークの普及により、場所にとらわれない採用が可能になることから、より優秀な人材を採用することが可能になります。

 

5Gの普及で変わる中小企業の経営と採用

これまで見てきたように、5Gの普及は中小企業の採用環境を一変させることが予想されます。

こうした労働環境の変化を敏感に捉え、売上の向上や業務の効率アップにつなげるためには、テレワーク採用に備えた労働条件の検討、採用方法の変更、給与体系、評価制度の見直しなど経営全般において様々な変革が必要となります。

もし、次世代のそうした変化に不安や疑問を感る経営者の方は、一度ITC中部にご相談ください。

詳細なヒアリングの上、貴社のデジタルトランスフォーメーションを実現するオーダーメイドのご提案が可能です。

お問い合わせは、ITC中部ホームページからお問い合わせください。

https://www.itc-chubu.jp/

◆◆◆◆ 働き方改革特集 ◆◆◆◆

特定非営利活動法人ITコーディネータ協会理事 水口和美

  

◆働き方改革は経営改革を実現すること

働き方改革の本質は、社員ひとり一人の働く時間当たりの「付加価値=稼ぎ高」を高めることによって生産性向上を目指す経営改革です。

今までのように、長時間働くことを美徳とする時代から限られた時間の中でいかに「価値の高い仕事」ができるか、また社員は自分のために自由に使える時間をいかに増やすことができるかを実現し、これによって自身の成長のため、あるいは家族のための人生設計を見直す大きなチャンスとなります。

経営者は、「①社員一人1時間当たりの粗利益額を高める、②お客様に提供する価値(顧客価値)を高めて売上を拡大する③社員が自分のため家族のために使える時間を増やす」こうした経営目標を掲げ、この目標実現に向けた経営戦略を立案、現状とあるべき姿のGAPを明確にしてこのGAPを埋める「課題」と「その解決策」を検討し、解決策を実行する「アクションプラン」を立案します。そしてアクションプランは、最近飛躍的に進化した最新ITツールの活用なくしては具体的・効果的な実行はできないでしょう。インターネット、SNS、クラウドなど、ここ数年で驚くべき進化を果たし、安価(費用対効果の高い)で使いやすい、そしてクールなITツールがだれでも今すぐに活用できるようにクラウドサービスで提供されています。

◆ビジネスコラボレーションハブの活用

社員ひとり一人の稼ぎ高(粗利益高)を高めるには、全社の徹底した情報共有(リアルタイムの見える化)と知恵・知識の共有活用により「3人寄れば文殊の知恵」効果が必要です。このためのITツール(ITによる仕掛け)は「ビジネスコラボレーションハブ」がお勧めです。

このコラボレーションハブの特徴は、プロジェクト単位あるいはプロジェクトチーム単位のチャット、1対1のダイレクトメッセージ、音声やビデオ通話、ファイル共有・検索など組織単位や社内外を含めたプロジェクト単位などで「知恵と知識の共有活用」が効率的できるクラウドサービスです。

例えば、営業マンが訪問先で得たお客様情報がリアルタイムに全社の関係者に伝わり、この情報を基に対策案を求められる場合の意思決定スピードは格段に上がります。コラボレーションハブを活用すれば、営業会議や幹部会議などの機能をこの上で代替することができ、ムダな会議をなくし申請や稟議・承認などは大幅な時間短縮が実現できます。

参考情報:slack: https://seleck.cc/

◆グループチャットでチーム力を高める

 お客さまに提供する価値を高める方策として、既存のお客様には、そのご要望を徹底的にリサーチします。例えば担当者は、「新規事業を検討中であるが、試作部品をすぐに入手したい」とか「外部環境の変化が激しく人気商品の発注が追い付かない」など日々多くの悩みを抱えています。これらのお客様の悩みを解決する提案こそが顧客価値を高め売上を拡大する必須要件です。このために力を発揮するITツールは「最新のグループチャットサービス」がお勧めです。

このクラウドサービスは、ビジネスチャット・オンライン会議などのコミュニケーション機能が利用できるほか、WordExcelなどofficeアプリケーションともスムーズな連携を実現しています。営業の商談で受注を決めるためには、

お客様の要望にいかに速く応えるかにかかっています。営業担当と開発担当、製造担当、品管、物流担当、協力会社の担当者などが1つのプロジェクトメンバーとしてこのグループ参加していると、重要な打合せ日時を共有し、お客様との打合せ内容はチャットによりリアルタイムにメンバーに伝わり、例えばお客様との面談で次期商品の試作品納期を求められた場合、この試作品の図面・仕様書がその場でUPされ、同時に「この試作品はいつ納品できる?」とのご要望がリアルタイムに各メンバーに届き、即担当者が応えることでその場で納期回答が可能となます。「スピード」と「チーム力」が新規受注を獲得します。

参考情報: https://products.office.com/ja-jp/microsoft-teams/

◆ダイバーシティ経営の土台を作る

 「ダイバーシティ経営」とは、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義されます。

社員が自分のため家族のために使える時間を増やすには、ダイバーシティ経営を推進すること、すなわち社員のだれもが持つ能力を最大限に発揮し、高いモチベーションを持って活躍し、業務効率を劇的に改善することが可能となる人材活用戦略です。こうしたダイバーシティ経営の土台は、「場所や時間のこだわりなく誰もが上手に働くことを認める意識改革」から生まれます。このためにはテレワークをはじめインターネットやSNS、スマホ・タブレット、ビデオ会議、eラーニングなど最新のIT活用がお勧めです。特に女性は産休・育休や幼い子供の急な発熱などで職場を離れることが多く、これを最新ITの活用で「だれでも・いつでも」時間や場所に縛られることなく能力が発揮できる働き方に変えていくことで業務効率の劇的な改善が期待できます。

 

特定非営利活動法人ITC中部 理事 安藤祐

 

◆生産性をあげるために何をすべきか

働き方改革は、ひとり一人の働く時間当たりの付加価値を高めることにより、生産性向上を目指します。

長時間労働はかつて美徳とされてきましたが、ムダも多い。何故、同じ業務のなか残業で対応する社員、定時で帰る社員が生まれるのか、それは効率性の違いです。

一人の営業は会社に戻ってからパソコンを開き営業日報を入力する。かたや別の営業は移動の電車にてスマホで営業日報を入力する。これだけでも日々の業務効率は差ができます。隙間時間に作業を行うため、仮想デスクトップサービス「AmazonWorkSpaces」など、端末を選ばないサービスも豊富になってきています。

動画で社員研修を行うことにより先輩社員の時間を使うことなく研修が実施できるサービスもあります。動画を見た後にeラーニングで理

解度をチェックし、理解できていなければ繰り返し動画を見ることもできます。

また、オンラインと相性の悪い作業としてブレインストーミングなどがあります。どうしてもオンラインだと固くなりやすく、意見が出にくい。オンラインホワイトボードサービス「miro」では、目の前に共有のホワイトボードがあるかのように各自ペンで書ける、付箋を貼れるため、ユニークなアイデアの抽出や合意形成が可能です。

新型コロナを機に業務プロセスを見直し、オンライン、テレワークを活用し業務の効率を上げて頂きたいです。

参考情報:miro: https://miro.com/app/

◆真の働き方改革とは何か

働き方改革は作業を効率化し、残業を減らすことが真の目的ではない。真の目的は経営改革であり、会社の利益、顧客のメリットにつなげることである。業務におけるオンライン化の流れとともに、ビジネスの構造が激変することを意識する必要がある。ビジネスを意識せずIT活用を試みても業務の効率化にとどまり、経営改革の効果は得られない。

ビジネスにとって最も重要なことは、顧客がどのような状態にあり、何をしたいかを正確に知ることです。それを知ることが出来るのが顧客情報です。「Netflix (ネットフリックス)」は、顧客の視聴履歴や操作履歴をもとに顧客が望んでいる動画を製作して人気を博しています。

Amazon(アマゾン)」は顧客の購買履歴に加え、Amazonプライムで聞いた音楽や見た映画からユーザーが興味を持ちそうな本を薦めます。本の売上が落ちていれば、本の購買履歴から動画コンテンツを提案するなどトータルで利益を考えることができます。

今後は、業界の垣根がなくなっていき、膨大な顧客情報を手に入れられる企業が力を持つ、社会をリードする流れがより一層加速します。特定の商品、サービスの儲けにこだわる必要がなく、どこで収益をあげてもよいモデルになります。うちは本屋だから、うちは機器製造だからと特定の業種にとどまるのではなく、クロスセルによる利益を意識する必要があります。

また、別の大きな変革として、ハードとソフトの価値の逆転がおこります。従来は、品質の良い「モノが届く」ことを消費者は求めていたが、これからは「継続的なアップグレード」が求められます。パソコンも購入後にソフトウェアをアップデートします、車も販売した後にモビリティサービス(移動の過程を円滑かつ快適にするためのサービス)が必要となります。

よりソフトの価値が上がるため、すべての企業はITを駆使する前提でサービスやビジネスを考える必要があります。

◆中小企業はどうすべきか

これから先、変化に躊躇する企業に未来はありません。変化に対応するスピードが最大の価値となります。自動運転の分野でも、自動運転のソフトウェアに特化する企業は自動車の製造は考えていないが、自動車製造業は自動車の製造とソフトウェアの両方をカバーする必要があります。特化することでスピードに差を生み、大企業の優位性をなくすことができます。

さらに個人としてどうすべきか。真の働き方改革は個人で行える範囲を拡大することです。業界の垣根がなくなれば、個人が取り組む仕事の垣根もなくなります。幅広く手掛ける人、一見、何をやっているかわからない人が強くなります。

新たなテクノロジーを十分に理解し、かつビジネスを知る人がそれぞれの垣根をつなぎます。その交差点で様々なビジネスのチャンスが見えてきます。今までのように経営のプロ、金融のプロ、ITのプロ、では足りません。今後は複数の視点を橋渡しできる人に価値が出ます。

働き方改革は日々の効率化を目指すことではなく、ITを活用して経営改革することが真の目的です。ITコーディネータはまさに経営とITの橋渡しをする役割です。いかに経営にITを利活用するかを考えています。ITコーディネータ資格取得に挑戦することを働き方改革の一歩として頂ければ幸いです。

慶應義塾大学大学院マネジメントデザインセンター産学連携コーディネータ、

コンサルタント 大塚有希子

 

◆パンデミックで働き方が変わった!

2020年2月頃よりのパンデミック騒ぎから社会が一瞬にしてかわってしまいました。働き方改革といわずとも否応なしに働き方、会社のあり方が、変わった方も多いでしょう。

◆環境規制がイノベーションを生む

ヴァリューチェーンや5フォース分析などの戦略マネジメント論で有名な競争戦略の研究者マイケル・ポーター教授は「適切に設計された環境規制は企業の効率化や技術革新を促す」といい、「ポーター仮説」とよばれています。

日本においては、古くは1970年代の自動車の排ガス規制が結果的に日本の自動車産業のパフォーマンスを高めたという事例がよく紹介されます。モータリゼーションの発展と共に大気汚染などの環境悪化や世界的な環境に対する関心の高まりから、CO2の排出を一定以下にするという規制(現在は排ガス規制法)が制定されました。業界は反発したものの、技術を持った会社が開発に取り組みはじめた後は、競争で技術開発が進み世界一厳しい基準の達成と燃費改善に成功し、業界の国際競争力を高めました。

直近では、店舗のレジ袋規制が、エコバッグや食品トレイを使わないパッキング、分解可能な事前素材によるプラスチック・バッグの開発などに繋がっている事例を目にします。

ポーター仮説の「適切に設計された」環境規制はどのようなものかは賛否両論あり様々に事例が研究されていますが、いずれにせよ何らかの制約条件を超えようとしたときが、イノベーションが生まれる契機になることは間違いありません。

◆外的要因による制約条件

さて、2020年のパンデミックは言うまでもなく突然の外的な制約条件でした。10月時点でもこの世界レベルでの新たなウィスルの影響は収束していません。数か月、数年後にはワクチンが開発されCOVID-19の流行は収まるかもしれませんが、別の新たなウィルスが発生するリスクは今後も存在し続けるでしょう。

そんな今こそ、生まれている新たなビジネスモデルと同様、新たな働き方を一過性のものとせず、生産性を上げ精神的身体的に無理のない働き方ができる継続したシステムとしてデザインするまたとないチャンスと言えるでしょう。

そして、とりあえずのリスク対策ではなく、これまでと違った視点の働き方を自分たちのものとして導入できる組織が、今後の全く新しい環境の中で生き残れる持続可能な組織となることは間違いないでしょう。

◆新しい働き方とビジネスモデル

このような環境における新しい働き方やビジネスモデルの事例を挙げてみましょう。

【無人レジ】スーパーのレジ係と顧客との身体的接触をさけるために、無人レジの導入が加速しました。高齢者は使いにくかったり、万引きのリスクはありますが、人手不足やヒューマンエラーを防ぐ手段に加え、密をさけるレジ係の働き方の改善を考えるとメリットがデメリットを上回ると考えられるようになったのです。JR東日本のベンチャーキャピタルが出資する事例もあり、本業がパンデミックの影響を受けた業界でも新たな分野に投資することも増えてくるでしょう。NECとセブンイレブンの給与天引契約やアマゾンGoの無人店など、更にイノベーションが生まれそうな分野です。

【営業スタイルの変化】筆者が支援している会社でも“できる営業さん”の顔ぶれが一部変わったという話を聞きます。担当者の出社日が限られている取引先もあり、直接訪問が難しくなった中で、貴重な出社時間を割くのに必要な訪問なのか顧客の方も選別するようになりました。営業マンは顧客の担当者の生産性も気遣うことが必要になりました。オンラインミーティングでも、単に表情を見せるだけでなく、共有メモボードを使って説明したり、その場でオンライン上の情報を届けたり、人間関係をつなげるだけでなく、限られた時間に素早く直接役立つ情報を提供・提案できるスキルが重要になります。

◆オンラインによる働き方改革と生産性

筆者が教員をしている社会人大学院の授業はグループ演習も含めすべてオンラインになりました。ひと目や授業の中断を気にしないせいかリアル時よりもチャットで質問が増え、また提出物の質も向上しました。とはいえ、オンライン授業については質が落ちると考えておられる他大学の教員や生徒の声も耳にします。企業研修では、ITを使った業務に抵抗がない新入社員は例年より質問や意見交換が活発ですが、中堅社員の場合は他の業務と並行作業しようとするので研修に集中してもらうのに苦労します。逆に役員会の面々はオンライン可としていても実際に会議室に集まることをやめなかったりします。

オンライン業務は、交通費や事務所費の削減や家庭での時間の増加につながり、効率がよいとする考え方もありますし、自己管理できる人でないと仕事がすすまず生産性が落ちるという意見もあり、環境設備の他マネジメントの年齢層やリテラシーによる感覚の違いも否めません。

どちらもメリット・デメリットがあり、どちらか一方が全面的に良い・悪いということはありません。特に生産性については具体的な根拠を明らかにして比較するべきでしょう。例えば残業、通勤を含めた12時間およびコストに対して在宅業務の12時間を比較するのか、勤務時間8時間に対して在宅業務の8時間を比較するのかによって生産性の考え方がかわってきます。また、達成すべき仕事の分量について明らかにしていない組織も見受けられます。例えば1日(または1週間)で行う業務が明確になっていなければ生産性を分析することはできません。

このようなことが明確になっていない組織はこれまで業務達成について個人に任せてきたケースが多く、マネジメントが機能していなかったと言えます。上司は部下に仕事を配分し期日までにグループの目標を達成する責任があるのですが、部下に丸投げして目標未達成を部下の責任にするのはマネジメントとは言えません。

パンデミックによる働き方が変わった今、根拠に基づいた働き方改革を継続するため、生産性とは何か見直してみてはどうでしょうか。その過程で、業務を明らかにすることが、個人レベルではなく組織としてのマネジメント力強化につながり、一過性ではなく、組織の本質的な働き方のイノベーションに繋がることと思います。外的な制約条件が課された今がそのまたとないチャンスです。

 

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